高齢者・彦市のブログ

依佐美送信所

手抜きが常態化する現代人

「手抜き」とは、職人が作業工程を省略する事ですが、ここでは、現代人の「思考パターン」に関する評論で使います。サービス業では「マニュアル作成」が必須です。新人教育では、即戦力を狙って、「マニュアル通りの作業」を強制して、経営者は安直にサービ…

超長波による無線通信は、現在でも使われている!?

「依佐美送信所」の開設は、商用の「国際無線電信」が目的でした。ここの送信設備は、ドイツのテレフンケン社で製作されたもので、人海戦術で延べ1万人を動員して2年間で完成しました。 ところが、既に「短波通信」が実用化されており、数年間の運用後に予…

世界遺産の長波送信所がある!?

それは、スウェーデンの「グリメトン無線局」です。 1950 年代から 1996 年の間は、潜水艦への送信も行われました。そのため1968 年にはトランジスタや真空管を採用した2台目の送信機が導入されて、 現在もまだスウェーデン海軍が運用しているようです。 従…

我が国の国際通信は明治30年代中期から始まった!?

「インターネット回線」で、情報が世界中に、しかも、瞬時に伝わる現代では、私たちは、電気・水道と同様に、身近なものとして「国際通信」を意識しています。しかし、実際には、「国際通信」と「インターネット回線」は別物です。 我が国の通信事情の近代史…

依佐美送信所と類似の施設がアルゼンチンにあった!?

「依佐美送信所」は、500KWのテレフンケン式超長波送信所として、昭和4年に完成しましたが、それよりも4年前に、アルゼンチン国のブエノスアイレスに500KWの類似施設がありました。この送信所では、高周波発電機の出力は6,000Hz であったと報告されており、…

依佐美送信所には無かった幻の運転マニュアル!?

当時の送信所は、大型の回転機械が並び、高電圧の高周波機器や大型の高周波コイルと多数の高圧コンデンサーで構成されていました。 操作パネルは開放型で、空調設備もありませんでした。騒音と発熱で、耐え難い職場環境であったと推察します。 僅かな計測器…

送信所の電気回路解析は、1枚の稼働データシートから始まった!?

「依佐美送信所記念館」には、約100年前の設備機器が陳列されています。しかし、動力配線や制御配線がありませんので、稼働できません。「産業遺産」としての博物館ですから、稼働の必要はありませんし、これで良いのです。 しかし、技術者の立場では、機器…

依佐美送信所は、ヨーロッパ諸国方向を見通せる位置にあった!?

ヨーロッパ諸国との無線通信施設の建設が計画されたのは、大正時代の世界通信勃興期でした。 最適地として愛知県の「依佐美村」に決定された事情については、確かな記録がありません。日本の中央部に位置して、名古屋に近く、ヨーロッパ方向に対して、山岳地…

大電力アンテナを無接点方式でON-OFF制御した!?

「モールス信号」は、最も単純な情報伝達方式でした。 長点と短点の組合せで文字を表して、文字を連ねて単語として、単語を区切って送信しました。つい最近まで、船舶の「SOS信号」に使われていましたが、現在では廃止されています。 初期の無線通信では、一…

高周波発電機の出力周波数を更に3倍周波数に変換していた!?

「依佐美送信所」のアンテナ給電は500KW であり、これには700KVA の高周波を発生する必要がありました。ところが、目的の周波数の発電機を製作することが技術的に困難でした。 そこで、高周波発電機の出力周波数を必要周波数の1/3として、後段で3倍周波数に…

高周波発電機システムのたすき掛け運転が可能であった!?

複雑な「ワードレオナード方式」を採用した高周波発電機システムでは、故障頻度が高いと予想されます。建設時には、「高周波発電機システム」を2セット並べて設置されました。 故障が発生すると、短時間で予備機システムへ切り替えることが出来ました。 とこ…

大理石の大きな運転操作盤が実在する!?

最近では、見かけなくなりましたが、昭和初期の「電力配電盤」には天然の大理石パネルに電流計や開閉器、表示灯などがはめ込まれていました。強度があって、電気的特性が優れていたからです。 時代が変わり、ベークライト板に代わり、現在では、焼付塗装の鉄…

高周波発電機の定速度運転を必要とした!?

高周波発電機の回転数が変動すると、発信電波の周波数の変動につながります。発信電波の周波数が変動すると、相手の受信所では、受信信号が不安定になり、受信不能にさえなります。 そこで、高周波発電機の回転数を正確に制御するために「ワードレオナード方…

アース抵抗値をゼロに近づける必要性!?

一般に、「アース抵抗値」の低減は、電気保安上から必要があって規制されています。 家庭用のアース抵抗値は100Ω以下です。 工場の高圧電気設備では10Ω以下です。「逆L型アンテナ」に於いては、別の観点から重要な要素です。 アンテナへ給電された電力…

80KWの電波出力のために1,000KWの電力を使った!?

ヨーロッパ諸国までの直線距離は約1万 Kmあります。この間を、地表面に沿って長波の電波を送信しました。その電波の強さは80KWが必要でした。大変効率の悪い「逆L型アンテナ」でしたので、アンテナ入力は最低500KWの給電でした。従って、”500KW送信…

アンテナ鉄塔への落雷が頻発した!?

「依佐美送信所」の地元に住む人の話では、鉄塔への落雷が多かったと言われます。 鉄塔はアースされておらず、碍子で地面から浮かせてありました。また、支線には碍子が挿入されていました。稼働時には、鉄塔も高電圧となるので、避雷針設備の設置は不可能で…

アンテナ鉄塔に触れて感電死した!?

電波を出すためには、アンテナ線が給電高調波の周波数に共振する状態を保つ必要があります。 「依佐美送信所」の「逆L型アンテナ」では、端末が電圧最大となり、12万ボルトに達しました。アンテナ素子と鉄塔との絶縁は困難であるので、鉄塔の底部に碍子を並…

竹かごに乗ってアンテナ線を張った!?

ヘリコプターもクレーン車もない時代の高所作業の話です。 「依佐美送信所」のアンテナ設備は高さが250mでした。最初に、8本の鉄塔に対して、横に4本の吊架線を張りました。次いで、16本のアンテナ線を吊架線に1本ずつ結束しました。最後に、両端を8本ず…

広大な土地を使った大アンテナがあった!?

昔のことですが、愛知県刈谷市(昔は依佐美村)に、高さ250mの鉄塔が8本建っていて、頂部に細い銅線のアンテナ素子が長手方向に16本並列に展張されていました。そして、アンテナ線の真下には、地下60cmの位置に銅のアース線が網目状態に埋設されていま…

大型高周波発電機が現存!?

現在では、「高周波の発生」は半導体回路によって容易に実現します。無線通信の媒体である「電波」は、アンテナを「高周波で共振」させて、飽和した電界から磁力線の波が空中に放射される現象です。従って、高周波を発生させることが必須条件です。 短波通信…

ヨーロッパ諸国との国際電信は名古屋から発信!?

約100年前の話ですが、ヨーロッパ諸国との直通無線回線が確立して、「名古屋電信所」が担当していました。 「欧文モールス符号」を使って、「依佐美送信所」と「海蔵受信所」を専用回線で結んで、自動送信と自動受信を実現していました。「テレックス方式」…

四日市に長波の無線受信所があった!?

三重県の四日市市には、昔、「海蔵受信所」がありました。 愛知県刈谷市の「依佐美送信所」と対の関係でした。 昭和3年に開設されて、約10年間、ヨーロッパ諸国からの長波の無線電波を受信していました。 当時の最新鋭無線機を4台設置して、自動受信した情…

世界最大の長波送信所があった!?

愛知県の刈谷市に、世界最大級の送信所があったのですが、地元住民以外には知られていません。世界の無線通信が実現したのは、大正時代から昭和初期に、大出力の長波を使って、モールス信号による方式でした。第1次世界大戦が終わって、日本国が先進国の仲間…