人生末期の居住場所に関する選択

我が国は、既に世界一の高齢化国家であり、少子化も進んでいます。
この結果、「介護保険の財源」が緊迫した状態です。
収支バランスを図るため、今後は、サービスの低下が予想されます。

人生末期には、病院で過ごすか、要介護状態や認知症で他人の世話になる確率が高いです。
最近では、自宅介護を避けて、介護施設へ委託する家族が増加しています。

子供が居ても、住宅事情や介護者がいなくて、自宅介護は望めないからです。

 

そこで、介護施設の実態を調査すると、以下のことが推察できます。

介護と看取りまで実施する施設は、現状では、かなり低い比率です。
公的な「特養ホーム」が本来の受け皿ですが、実態は、要介護度3以上の経済的困窮者が優先入居します。
私的な「有料老人ホーム」では、条件を満たす施設は、かなりの高額費用を必要とします。
余命の長い人は、経済的な理由から入居をためらうことになります。

最近の傾向は、「サービス付き高齢者向け住宅」ばかりが建設されています。
これは、実質「バリアフリーの高齢者専用アパート」です。

自活できる高齢者を入居条件としており、最少の要員で運営されています。

要介護状態となると、自宅介護の如く、自己責任で外部の支援機関とヘルパー派遣契約をするか、入居施設の関連グループにお任せするか、の何れかとなります。

建物外観は立派ですが、入居後の人間関係は孤立状態になりがちです。


希望条件を満たして、手頃な費用で入居できる施設は、数が少なく、しかも「常に満室状態」です。
2~3年待っても入居できる確率は低いでしょう。

最近は、大手の専業者が、多数の施設を運営して宣伝合戦をしています。
食品や医薬品の業界の如く、組織拡大による「低価格提供」を目指しています。
従って、庶民は、この種の施設を選択せざるを得ません。
QOLを重視した生活は、介護施設入居者では贅沢な話で、多くが期待外れとなりそうです。

従来型の有料老人ホーム」では、空き室が埋まらない状況になりつつあります。
既存入居者との兼ね合いがあり、中途半端なサービスとなって、業界標準から外れてしまうからでしょう。
資本力が乏しく、改善策を構じられない施設は、倒産する結果になります。

私たちシニア層は、「終の棲家」の選択に必死な思いです。
選択を誤ると、惨めな最後となります。
子供任せは危険です。
厚労省は、「在宅介護を奨励」していますが、親孝行思想が廃れて、自己利益を優先する「核家族社会」では、昔の「大家族生活時代」への回帰は不可能です。

子供の無い老夫婦の場合には、「自宅の売却処分」が大きな問題です。
不動産所有者が認知症になると、成年後見人制度を利用しなければ売却できません。
死後、無人化して放置されると近隣に迷惑が及びます。
都会地での住宅処分は比較的容易ですが、田舎では空家のまま放置されがちです。

施設入居の際には、「身元保証」が必要です。
子供の無い老夫婦の場合には、この問題を予め解決しておく必要があります。
身元保証会社と契約する場合は、死後の対処まで含めて最低200万円ほど必要でしょう。

人生末期を他人に迷惑を掛けないで完結するには、自助努力以外に資金の手当も重要ですね。

人生100年時代」に向けて楽しい老後を過ごせる人は、家族と健康に恵まれた僅かのエリート層でしょう。

敬老の日」の行事も少なくなっています。

嫌老の社会」にならないことを祈るばかりです。
実情を知るほどに、ため息が出てきました・・・