ハイシニアからの発信

リタイヤ後のパソコン生活で高齢者の仲間を求めています。

任意後見契約

高齢者の不安要素「認知症」に対する対策を検討しました。

最近になって「認知症」の発症や進行を遅らす薬が開発されましたが、年間の薬剤費が500万円という高額のようです。
現在では、治療薬はありません。

私は、「認知症」になる確率が40%の年代に達したので、気になっているのです。
認知症」になると、自分名義の不動産の売却や動産の移動ができなくなります。
そこで、「認知症」になることを予想した対応策が必要です。

 

先ずは、「成年後見制度(昔の禁治産制度を作り替えたもの)」を学習しました。
複雑で問題点もありますが、契約社会では必須の認知症対策です。

成年後見精度」には、「法定後見」と「任意後見」があります。

どちらも、「家庭裁判所」の管理下で、指名された後見人と監督人によって「痴呆症」本人の法的な権限や行為が代行されます。

法定後見制度」では、既に「認知症」になった人に適用されます。
家庭裁判所」から一方的に成年後見人等が決められます。
そして、不満があっても変更できません。
これでは、自分の尊厳尊重や計画事項が十分に実現しないでしょう。

任意後見制度」では、将来法的支援の必要が生じた場合に備え、支援内容・方法を信頼できる人に頼んでおく方式です。
こちらであれば、費用は掛かりますが、自分の意志や計画が実現します。


後見人の仕事は、大きく分けて、「財産管理」と「身上監護」に分かれます。

財産管理」は、財産が騙し取られたり、紛失しないように、代行して管理します。

身上監護」は、身元保証や見守りをして、介護サービスや入院などの手配を代行します。


ところが、現実には「財産管理」の引き受け者は多いのですが、「身上監護」の引き受け者が少ないです。
殆どの実例では、「身上監護」部分を後見人以外の「親族」が引き受けています。
つまり、管理費用が確実に回収できる「財産管理」が主体になっています。


この制度の問題点は3つです。

.財産の乏しい人は、後見人報酬(毎月3~5万円程度)の支払いができないこと。

.後見開始の審判の申立権者は、本人、配偶者、4親等内の親族等となっています。   しかし、本人が認知症であると、申立親族等から権利侵害を受ける恐れがあります。

。身寄りのない人や申立権者に適した人がいない場合には、第3者の弁護士等に後見人を引き受けてもらわなければならない。

後見開始の審判の申立が出来ない場合は、「市区町村長」が申立権者になることになっていますが、実際には事例が少ないようです。

即ち、落ちこぼれ者は救済されないのが実状です。


 任意後見契約の種類

 

[即効型]

既に軽度な認知症であり、判断能力の低下している状態で「任意後見契約」を締結して、後見開始の審判の申立をして、任意後見監督人を選任してもらい「任意後見契約」上の後見人が実効化を発生させます。


[移行型]

判断能力のあるうちは、「財産管理委任契約」としておき、判断能力が低下した時点で、後見開始の審判の申立をして、任意後見監督人を選任してもらい「任意後見契約」上の後見人が実効化を発生させます。


[将来型]

判断能力のあるうちは、「任意後見契約」をするだけで相談支援とし、判断能力が低下した時点で「後見開始の審判の申立」をして、任意後見監督人を選任してもらい「任意後見契約」上の後見人が実効化を発生させます。

ただ、本人の判断能力の低下度を把握しなければならず、信頼出来る身内が常時接触していないと「後見開始の審判の申立」が遅れます。

そこで、行政書士等と「見守り契約」を締結しておくと、適切に「任意後見契約」の開始へ移行できます。


任意後見制度」で注意すべき点は、被後見人の財産を侵奪する(横領罪が成立する)事例が少なくないことです。

任意後見人と事前契約して裁判所へ届けても、被後見人が認知症になって「任意後見監督人」を選任してもらうまでは、チェック機能がない状態です。

親族から任意後見人を専任すると、心情的要素が強まり、契約内容が曖昧になりやすいです。


任意後見の発効

本人の能力が衰えたときに、本人、配偶者、四親等内の親族または任意後見受任者(第3者)が家庭裁判所に申し出て、「任意後見監督人」の選任を受けた後に「任意後見契約」は発効するのです。

本人以外の者が申し立てた場合には、「本人の同意」を必要とすることが、「法定後見」との大きな違いです。


身元保証人の確保


一般に、病院へ入院する時と施設へ入所する時には、2人の身元保証人が必要です。

殆どが親族にお願いしますが、高齢者世帯では直ぐに手配できない場合があります。

健康な時に、2人の保証人を確保しておきたいものです。

成年後見人は、原則、身元保証人を兼ねることをしません。

NPO法人などで、身元保証人を引き受けているところを探すと良いでしょう。


[ 参考 ]

成年後見人制度

この制度は2000年4月から施行されていますが、知らない人が多いようです。
以前は「禁治産制度」でしたが、「介護保険制度」と整合させるために見直されたものです。
認知症と診断された人に「介護保険制度」を適用する際に、本人の意思を尊重するとともに本人の権利を保障するものです。
また、「禁治産制度」で規定されていた民事上の代理人等の項目も移行されて、成年後見人等には、法的な契約に対する代理権、取消権、追認権が与えられています。

この制度の理念は、基本的人権の尊重にあり、認知機能の低下度に応じて、段階的に補佐するために、「後見人」「保佐人」「補助人」に区分されており、できるだけ裁判所の介入を減らすようにされています。

また、本人に不利益な行為や不正を防止するために、それぞれ「監督人」を定めています。

この制度の適用に当たり、家庭裁判所が介入しますので、手続きが複雑で選任までに時間もかかります。

そこで、簡便な方法として、「任意後見制度」があります。
これは、民法の特別法によるもので、本来の法的制度ほど厳格でなくてもよい場合に適用されます。
法定後見では原則として本人の判断能力が不十分であることについての鑑定が必要であるのに対して、任意後見では鑑定は不要です。

法的制度に準じて、後見人等および監督人を選任して、家庭裁判所へ届出するものです。
そして、定期的に経過報告して、裁判所の監査を受けます。

法的制度との相違点は「取消権」が付与されていないことです。
これは、親族が選任される場合が多いので、「取消権」で本人の意思に反する不正が起こり得るからでしょう。

 

一般的な流れとしては、認知症の前段階で、本人の意思で「任意後見制度」を適用します。
財産が高額の場合には、「法的後見制度」へ移行します。
このため、任意後見契約は「将来型」「移行型」「即効型」に区分されています。

将来型」とは、本人の判断能力が不十分となった時点で「任意後見契約を発効」させるものです。
移行型」とは、本人の判断能力が十分な間は「任意代理契約」又は「見守り契約」とし、判断能力が落ちた場合に「任意代理契約を終了」させ「任意後見契約を発効」させるものです。
即効型」とは、判断能力が不十分になると予測して、早期に契約を発効させたい場合に利用されます。

 

報酬について

法的後見制度」では、1年間の仕事量を推察して裁判所が決定します。
任意後見制度」では、契約書で決めることができますが、多くの事例では実費補填程度です。

一般に、職業後見人に対しては月額およそ3~5万円の報酬を本人の財産から支払う必要があります。
そこで、負担を軽くするために、家族等を後見人として選任する事例が多くなります。

ところが、後見人となるべき家族等がいない場合、または家族から財産侵害(経済的虐待)を受けている場合などでは、職業後見人を選任するべきなのですが、一定の財力がないので、選任できない事例が多いです。

この場合には、市町村からの補助を受ける方法があります。

幅英雄氏の作品を借用

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