「感電現象」とは、人体に電流が流れることで、そのダメージの程度は、「電流値と時間の積」および「感電電流の経路が人体のどの部分であったか」で異なります。
例えば、静電気の場合は、電圧が1万ボルト近くであっても、電源容量(電気量)が僅かであれば一瞬の放電で終わります。
落雷では、電圧が5万~50万ボルトもあり、電気量も多いので、「感電死」となります。
「感電現象」では、心臓部を電気が流れると、小さい電流でも「心筋梗塞」の危険があります。
30mAを超えると人命の危険があるので、漏電遮断器の設定は30mAとなっています。
人体に大きな電流が流れると、発熱作用により組織が焼損壊滅するので、その部分が後で腐敗します。
感電電流値は、電圧と経路の総合抵抗値によって「オームの法則」で推算できます。
総合抵抗値 R = 充電部との接触抵抗値 R1 + 人体内部の抵抗値 R2 + アース抵抗値 R3
感電電流値 I = 充電部の電圧 V ÷ R
V = 100V の場合で、R = 1kΩ であれば、I = 100mA となります。
人体内は海水と同じ塩分濃度ですから、R2は数百Ω以下の低い値です。
乾燥状態での手足の接触抵抗R1は4kΩ程度です。
風呂場などの湿った状態では、R1は1.5kΩ程度になります。
従って、素手と素足状態で100V充電部に接触すると・・・
乾燥状態であれば、総合抵抗値Rが5kΩ程度となって、20mA の感電電流値と推算されます。
しかし、風呂場などの湿った場所で最悪の場合には、総合抵抗値Rが2kΩ程度となって、感電電流が50mA近くとなって、ショックで心臓が停止します。
このように、流入点と流出点の接触抵抗が小さいほど大きな電流が流れます。
このように、濡れ手や裸足では、危険性が高くなります。
もしも、電源電圧Vが60Vであれば、総合抵抗値Rが2kΩ程度であっても、感電電流が30mAで収まり、ショックで心臓が停止するほどではありません。
電源電圧Vが60V以下については、「小勢力電源」として、電気事業法の規制から外されています。
電化製品には、「アース敷設用の配線や端子」が付いています。
これは、内部の電気部品が損傷して筐体(ケース)に漏電した場合にも、取扱者に危害を与えないような安全対策の為です。
つまり、アースが確実に敷設されておれば、筐体の電位上昇が僅かであり、人が触れても感電しないのです。
アース敷設の方法は、電極棒を地中に埋設して、アース配線を延長して、コンセントのアース端子に接続するか、電気機器の筐体(ケース)に接続しなければなりません。
アース極(アース棒)の接地抵抗値は100オーム(Ω)以下にしなければなりません。
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