「二酸化炭素の排出量削減」において、工場や家庭に対する対策は進みつつあります。
排出総量の18%を占める運輸部門の対策が問題なのです。
工場に対しては、「省エネ法」によって、既に対策が進行しています。
家庭に対しては、「照明のLED化」「ヒートポンプエアコン」「コジェネレーションの普及」「省エネ住宅」などで、省エネ効果が出ています。
運輸部門の内で、自動車燃料の転換対策が重視されています。
今後は、小型車は「電気自動車」になるでしょう。
貨物車とバスでは、大きなバッテリーを積載することは不利ですから、従来通りのエンジン駆動が主流になり、一部が「燃料電池車」となるでしょう。
電力会社では、余剰電力を水素に変換して貯蔵することになります。
ところが、現状では、水素の需要先が不足しているのです。
そこで「燃料電池車」に水素を使うことが本命視されているのです。
先ずは、水素の供給体制を構築しなければなりません。
そして、水素の需要先としての「燃料電池車」を普及させなければなりません。
その前段階として、政府の補助金を使って、「水素ステーション」を全国の主要都市に建設中です。
「水素ステーション」は、2022年度末で179ケ所となっています。
2025年度末で320ケ所とする計画です。
今後は、トヨタの水素の燃料電池車「ミライ」の販売に力を注いで、国民にアピールするでしょう。
「ミライ」の販売実績は、2022年度末で約8千台です。
商用車からの排出量が総排出量の約9%を占めています。
従って、今後は、バス(23万台)、営業用トラック(117万台)、自家用トラック(492万台)を対象として、水素の「燃料電池車」へ転換する方向づけが想定されます。
トヨタの「燃料電池車」は、愛知万博での送迎バスで実証済みです。
最近になって、トヨタ系列の「日野自動車(株)」が「日産ディーゼル工業(株)」と業務提携するニュースがありました。
但し解決しなければならない点があります。
1.水素の価格が高いので、特別な優遇をしない限り「燃料電池車」の需要が発生しない。
2.「水素ステーション」での「圧縮水素ガス」注入にかなりの時間を要するので、「液体水素」注入方式も併設すればロスタイムが減少する。