[目標-12] 持続可能な生産消費形態を確保する。
「資源の採掘量」は、国のニーズを満たすために必要な原材料の量を反映する。
2010年、開発先進国の「資源の採掘量」は、開発途上国と比べてかなり高く、それぞれGDP当たり23.6キロに対して14.5キロであった。
開発途上地域の「資源の採掘量」は、2000年から2010にかけて増加したが、非金属鉱物が最大の増加であった。
国内の物的消費とは、経済プロセスに使われた天然資源の量である。
2010年、開発先進国における国民1人当たりの国内物的消費は、開発途上地域のそれに比べ72パーセント高かった。
SDG 12は、環境に有害な材料の管理に関する特定の政策や国際協定のような措置を通して、消費や生産パターンを促進することを目指す。
ゴールが2020年までに達成したいと目指すターゲットは、そのライフサイクルを通して化学物質や廃棄物を環境上健全に管理し、それらが大気、水、土壌に放出されるのを大幅に減らし、人間の健康と環境に対する悪影響を最低限に抑えることである。
有害廃棄物と化学物質について
毎年国境を越える何百万トンもの有害廃棄物を規制するために、加盟国は1989年の「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制に関するバーゼル条約」について交渉した。
この条約はUNEP が管理し、185カ国が加入している。
1995年に強化され、安全な廃棄技術を持たない開発途上国への有害廃棄物の輸出が禁じられた。
条約は、国境を越えた危険な廃棄物を輸送、投棄することを減少させることを加入国に義務付けた。
1999年、加入国政府は「バーゼル損害賠償責任議定書」を採択した。
これは不法投棄や有害廃棄物の事故による流出の際における財政的責任の問題を取り上げている。
オゾン層の破壊について
オゾン層とは成層圏におけるオゾン分子を意味し、地表よりおよそ15から35キロメートル上空にある薄いガスの層で、太陽の有害紫外線から地球の表面を保護する。
1970年代半ば、冷蔵庫、エアコン、工業用洗浄に使用されるクロロフルオロカーボン(CHCs)など、ある種の人工化学物質が大気のオゾンを破壊しているとの仮説が発表された。
このことは大きな反響を呼び、国際的な懸念が高まった。
紫外線に長時間さらすことは皮膚ガンや白内障、人間の免疫機能の低下の原因となり、また作物や野生動物、生態系に損害を与えるからであった。
オゾン層の実際の枯渇についての確かな証拠は1980年半ばに発見された。
この課題に応えて、UNEPは、歴史的意義のある「オゾン層の保護に関するウィーン条約(1985年)」とモントリオール議定書(1987年)」とその「改正」についての交渉を支援した。
UNEPが運営するこれらの条約のもとに、クロロフルオロカーボン(CHCs)は2010年に世界的に廃止となり、例外的に限られた使用も2016年には廃止された。
その他のオゾン層を枯渇させる物質も廃止になった。
モントリオール議定書加入国は代替フロン(HCFCs)の廃止も進めている。
UNEPオゾン事務局は、オゾン層枯渇物質は全地球的に98%削減され、成層圏にオゾン層回復の兆候が見られると発表した。
今後もオゾン層破壊物質のすべての排出を停止し続けるならば、今世紀半ばには1980年のレベルまでオゾン層を回復させることができるかもしれない。
気候変動の緩和について
2016年10月、モントリオール議定書加入国は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)の使用を制限する「キガリ改正」を採択した。
HFCの廃止は1億500万トンの温室効果ガス相当の二酸化炭素の排出を防止するものと期待される。
また、オゾン層の保護を続けながら、2100年までに地球の温度摂氏0.5度の上昇を回避できると期待される。