高齢者・彦市のブログ

SDGsの話ー5の14 海の豊かさを守ろう

[目標-14] 持続可能な開発のために海洋・海洋資源保全し、持続可能な形で利用する。

海洋は、沿岸資源や海洋資源とともに、人間の福祉や世界の経済社会開発において不可欠の役割を果たす。
特に、沿岸部に住む人々にとっては極めて重要である。
これらの人々は、2010年で世界人口の37%を占めていた。
生物学的に持続可能なレベルにおける世界の海産魚資源の割合は1974年の90%から2013年の69%へと減少した。
2014年、国家管轄権下にある海洋環境(沿岸部から200カイリまで)の8.4%が保護下にあった。
2000年から2016年までは、保護海域によって完全にカバーされた主要生物多様性海域の比率は15%から19%へと上昇した。
SDG 14は、海洋かつ沿岸の生態系を持続可能なように利用し、海洋汚染を防止し、かつ海洋資源を持続可能な方法で利用することによってSIDSやLDCsが受ける経済的恩恵が増大するよう求めている。


公海漁業について

商業的に価値のある漁業資源の多くの種は、乱獲のために枯渇寸前である。
また公海上で違法な、規制を受けない、未報告の漁業が多発している。
こうしたことから、広い海域を回遊し、または1カ国以上の排他的経済水域を回遊する魚種を保存し、持続可能な規制を行うための措置が求められるようになった。
1995年の「分布範囲が排他的経済水域の内外に存在する魚類資源(ストラドリング魚類資源)及び高度回遊性魚類資源の保存及び管理に関する1982年12月10日の海洋法に関する国際連合条約の規定の実施のための協定(略称:国連公海漁業協定)」は、長期的な保存と持続可能な利用を確保することを目的に、これらの魚類を保存、管理するためのレジームについて規定している。
締約国は欧州連合も含めて84カ国である。


海洋環境の保護について

沿海部や海域は地球の表面積のおよそ70%を占め、地球の生命維持システムにとって不可決である。
海洋環境を保護することが国連の主要関心事項の一つとなった。
UNEPは海洋や海域へ世界の注意を向けさせる活動を積極的に進めてきた。
ほとんどの水質汚染は産業廃棄物、鉱業、農業活動、車からの排出ガスに起因する。
これらの汚染のいくつかは海岸から何千キロも離れた内陸部で発生する。
「陸上活動からの海洋環境の保護に関する世界行動計画は、1995年にUNEPの主導のもとに採択され、そうした汚染から海洋、河口、沿岸水域を保護する国際的取り組みでは画期的な出来事だと見なされている。
漂流・漂着ごみが環境へ流入するのを防ぐため、「海洋ごみの国際パートナーシップ(GPML)」が2012年6月に「Rio+20」で打ち上げられた。
GPMLは、「廃棄物管理に関するグローバル・パートナーシップ」を支援することとは別に、海洋ごみを減らし、管理することによって人間の健康とグローバルな環境を保護する。

地域海計画のもとに、UNEPは、現在140カ国以上を対象に、悪化を増す世界の海洋・沿岸地域の環境問題に取り組んでいる。
同計画は13の条約もしくは行動計画を通して共有の海洋・水資源を保護する。
UNEPの主導のもとに始まった地域プログラムは黒海、東アジア海、東アフリカ、湾岸海洋環境保護機構(ROPME)海域、地中海、北東太平洋、北西太平洋、紅海とアデン湾、南アジア海、太平洋、南東太平洋、西アフリカ、広域カリブ圏を対象としている。

世界の海運業は劇的に拡大したにもかかわらず、船舶からの油濁汚染は1980年代にはおよそ60%も削減され、その後も減少し続けた。
これは、一部、廃棄物の処分管理の方法が改善されたことや、一部、各種条約による規制が厳しくなったことによる。
国際海事機関(IMO)は、船舶に起因する海洋汚染を防止し、国際海運の安全を向上させる国連の専門機関である。
先駆者的な存在の「油による海水の油濁防止に関する国際条約」は、1954年に採択され、5年後の1959年にIMOがその責任を受け継いだ。
1960年代以来、IMOは数多くの対策を講じ、海上での事故や油濁を防止し、事故や油濁の影響を最小限にくい止め、また陸上での活動から生じる汚染も含め、海洋汚染と闘ってきた。

1973年の「船舶による汚染の防止のための国際条約」と1978年の議定書および1997年の議定書は、事故および作業による油による汚染ばかりでなく、化学物質、包装された商品、下水や生ごみによる汚染もその対象としている。
そして、付属書VIは、船舶による大気汚染防止の問題を取り上げ、また2011年に採択されたエネルギー効率化措置による温室効果ガス軽減について規定している。
「船舶による汚染の防止のための国際条約」は、また、二重船体構造もしくは衝突または座礁の際に貨物を同等に保護する設計を取り入れることをすべての新規タンカーに義務付けた。
さらに別の条約は、油による汚染損害対応計画を作成するよう加入国に求め、また有害物質が関係する事故の対策を実施するよう求めている。
IMOはまた、貨物として、また燃料として運ぶ油による油濁に関連して、補償を請求するプロセスを容易にする責任と補償のシステムも確立した。

IMOはまた、1972年の「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約(LC)」と1996年議定書にも責任を有する。
これは、許可リストにあるある種の物質を除き、廃棄物を海に投棄することを禁じたものである。

船舶のバラスト水に含まれる潜在的に侵襲性の水生生物の拡散を防ぐIMOの重要な条約が2017年9月に発効した。
「2004年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約は、バラスト水および沈殿物に含まれる水生生物もしくは病原体を除去、無害化、もしくは船舶に積載もしくは外部へ排出する際にそれらが含まれないようにバラスト水を管理するよう船舶に求めている。
IMOはまた、海洋環境を損なう恐れのある防汚塗料を船舶に使用することを禁じている。
およそ15の特別敏感海域(PSSAs)が世界中に指定されていて、そこではある種の活動を制限する特別措置が取られている。
回避すべき海域、船舶の航路、報告制度などである。

IMOの技術協力計画や能力強化プロジェクトは、海洋環境を保護し、かつ気候変動との闘いに貢献するために、各国がIMOの環境条約を批准、実施できるように支援している。